専業主婦、共働き、資産運用

専業主婦家庭が減少し共働き夫婦が増えていますね。生涯独身の方も増えていて出生率は底這いながら回復するとも思えません。日本人の平均賃金がピークを打ったのが1997年、雇用市場は実体経済に遅行することから89年のバブルピークの8年後で467万円、ボーナスを考えて14で割ると月33万円が現在ではリーマン前の水準にまで回復してきたとはいえ432万円、内訳は男538万、女287万、正規493万、非正規177万(いずれも2017年)となっており、この数字を見るだけでもいろいろと考えさせられます。

終身雇用年功賃金制の下では若いころに給料が少ない分管理職になってから回収することが可能でしたが、会社もつぶれるし経験がものを言わない社会になって現在では40代で管理職になるかどうか、50代で役員になるかどうか(役職定年にかかるかどうか)、シニア職になるかどうか、定年延長を受けるかどうかで給与水準が大きく変わります。若い人の給料を上げる原資を中間層以降から移管していることで、時給やパートで働く形態や若年者層の賃金は増加していますが、平均賃金は下落する流れが続いてきました。年功賃金が崩壊すれば(これはあるべき姿でしょうが)スキルがある低賃金層は会社を変わるでしょうし、どこかの統計で見ましたが、日本のサラリーマンの半分は会社を憎んでいるそうで、その背景には終身雇用年功賃金制があるものと想像されます。

いずれにせよ一人で働いても家庭が維持できないことで結婚しない人が増え、専業主婦が贅沢になってきて、男女間の職種や賃金格差が縮小していることからも共働きが合理的だとみなされることになりました。

共働きすると所得が増えますので若いころから家計が黒字になると思います。資産運用の期待リターンは名目成長率+アルファ程度でしょうから日本の場合1-2%といったところでしょうか。為替の影響はインフレ格差で調整されると考えると、海外資産は実質成長率+アルファとして米国では3-4%、新興国では5-7%あると思われます。円を50%、株を50%という制約をもってグローバルなアセットアロケーションをすると、資産運用の期待リターンは3%程度が見込まれると思われます。例えば25歳から年100万円ずつ資産運用に回すと

25歳 100万円

26歳 103万円+100万円=203万円

27歳 203*1.03+100=309万円

33歳  1015万円

38歳 1708万円

43歳 2511万円

とそれなりの金額になりますし、年200万円投資に回すと同様に33歳で2000万、43歳で5000万円に到達します。25歳から43歳までの19年間で投資に回した原資が1900万、3800万に対して収益がそれぞれ600万、1200万になります。さきほどの平均賃金でいうと1.5年分、3年分に相当します。これをさらに続けていくと200万円版では60歳で運用資産が12000万円を越え、3%の収益が360万円と平均賃金に近づいてきます。そう、資産運用は家計における第三の働き手であり、専業主婦より合理的な共働き、に続いては第三の働き手の活用が家計における予算制約を緩和する重要な手段になるのだと考えています。